染織・装身具 | 佐野美術館　Sano Art Museum

赤地花筏蝶鳥模様厚板唐織

（あかじはないかだちょうとりもようあついたからおり）

: 日本
: 江戸時代（18～19世紀）
: 1領
: 袖丈 55.5 cm　裄 75.8 cm　丈 148.5 cm
: 唐織は本来文字通り「唐の織物」であったが、後にはこうした金糸や色糸の縫い取り織がある豪華な織物を指すようになり、能装束ではそのまま装束の名に使われるようになった。この装束は、赤紫地に金糸で格子を表し、そこに色とりどりの鳳凰、蝶、牡丹の花枝、筏に桜といった模様が艶やかに織り出されている。このように地や文様に赤（紅）を用いた能装束は「紅いり」と呼ばれて、若い女性の役に用いられる。

（おもだかまきえいんろう　めい　ぜしん）

: 柴田是真（しばたぜしん）
: 1807～1891
: 日本
: 江戸時代（19世紀）
: 1口
: 幅 5.5 cm　厚 1.95 cm　長 7.5 cm
: 黒漆塗四段の印籠で、表裏に沢瀉と酢漿草をあしらう。沢瀉の葉には、金銀高蒔絵、錆漆、黒漆、螺鈿や切金などの多彩な技法を用い、露には乳白色のガラスを象嵌する。シンプルな意匠ながら、葉の１枚、実のひと粒までを丁寧に描写し、天性のデザイン感覚でまとめあげている。柴田是真は幕末・明治の代表的漆工家、画家。江戸で生まれ、古満寛斎に蒔絵を、鈴木南嶺に絵を学び、どちらも非凡な才能を発揮した。明治期には国内外の博覧会へ出品し、帝室技芸員としても活躍した。軽妙洒脱で粋な作風は海外でも評価が高い。

（おおぎまきえいんろう　めい　たいしん）

: 池田泰真（いけだたいしん）
: 1825～1903
: 日本
: 江戸時代（19世紀）
: 1口
: 幅 6.2 cm　厚 1.6 cm　長 6.5 cm
: 青銅塗の地に、流水と、その上を流れる扇を表裏に大きくあしらう。扇は左半分を黒石目塗にし、右半分は細かな金銀切金の市松文様と檜垣文様を交互に蒔絵する意匠で、最下部は細かな切貝で檜垣文をあらわす。裏面の扇の中には金蒔絵の波文の上を銀の千鳥が連なって飛ぶ。池田泰真は柴田是真の高弟で、本作は単純化した意匠ながら、多彩な蒔絵技法を楽しめる是真風の作。

（しょうぶかわすずむしかなぐこしざしたばこいれ）

: 日本
: 明治時代（20世紀）
: 1口
: 煙草入/幅 13.5 cm
筒/長 22.0 cm
: 煙草入は屋外での刻み煙草の喫煙用に生まれた装身具で、幕末明治期には装飾性の高いものが多く作られた。いくつかの形式があるが、これは煙管筒を腰に提げるタイプで明治期に流行した。この煙草入は鹿革に菖蒲柄の模様を染め、鈴虫の金具をつける。煙管は木地に蟷螂や鈴虫、蟋蟀、天道虫などを高蒔絵し、金具と合わせて秋草虫尽の風情ある趣向である。

（さかなにびくやたて）

: 日本
: 明治時代（20世紀）
: 1口
: 矢立/長 20.0 cm
墨壺/径 5.0 cm
: 矢立は、小さな筆と墨壺を組み合わせた携帯用の筆記用具。筆入れは象牙で魚を、墨壺は木製で、鴨が蓋に座る「びく」をかたどったユーモラスなデザインの矢立である。

（くじゃくはねまきえこうがい　めい　かんさい）

: 二代古満寛哉（にだいこまかんさい）
: 1797～1857
: 日本
: 江戸時代（19世紀）
: 1口
: 長 22.6 cm
: 江戸時代の女性の結髪を彩った櫛や笄は、鼈甲や象牙、ガラスなど様々な素材が用いられた。蒔絵の笄は最も一般的で好まれた。この笄は金地に孔雀の飾り羽を金銀で高蒔絵し、青貝螺鈿をアクセントにする。柴田是真の師でもあった二代古満寛哉の作。

（くじゃくはねまきえくしこうがい　めい　しょうさい）

: 白山松哉（しらやましょうさい）
: 1853～1923
: 日本
: 明治～大正時代（19～20世紀）
: 1揃
: 櫛/幅 8.3 cm　高 2.8 cm
笄/長 13.7 cm
: 黒鼈甲に孔雀羽根の意匠を金銀の研出蒔絵で描いた作。羽根の毛一本一本までもがふわりと繊細に表される。白山松哉は研出蒔絵を得意とした漆芸家。東京美術学校（現東京藝術大学）漆芸科の教授、帝室技芸員としても活躍した。

（しのぶぐさまきえくしこうがい　めい　たいしん）

: 池田泰真（いけだたいしん）
: 1825～1903
: 日本
: 江戸～明治時代（19世紀）
: 1揃
: 櫛/幅 8.6 cm　高さ 3.5 cm
笄/長 15.3 cm
: 金地に金銀で丁寧に蒔絵された忍草の葉1枚1枚が、僅かな光の加減で現れ消える瀟洒な作。幕末明治の蒔絵師、池田泰真の作。江戸時代末期になると、髷を結った後に笄を差し込むために、胴の中央で分解できるものが増えた。