年間スケジュール(2014年度)

平成26年4月5日(土)~平成26年5月11日(日)

追憶の美人 日本画家・鏑木清方

美人画の巨匠、鏑木清方(かぶらき・きよかた)(1878~1972)の展覧会を開催します。
清方は明治11年東京の神田に生まれました。江戸の余韻を残す地で、家族とともに芝居を楽しみ、小説家で『やまと新聞』を創設した父のもとで少年時代を過ごしました。
13歳のとき日本画家・水野年方に入門し、新聞や雑誌の挿絵画家として人気を博しましたが、明治30年代より日本画の制作に取り組み、文展や帝展などの官展を中心に作品を発表しました。昭和2年(1927)に帝国美術院賞、昭和29年(1954)に文化勲章を受章。現在、鎌倉市鏑木清方記念美術館がある雪ノ下の地で昭和47年(1972)に93歳の生涯を閉じるまで、日本画の重鎮として活躍しました。
清方は明治から大正、昭和と世の中が大きく変貌した時代にあって、日本の古きよき文化や風習が失われていくのを惜しみ、幼いころより親しんだ明治期の風俗や芝居などを生涯のテーマとして描き続けました。清方の描く女性像は、もの思う眼差しや繊細な指先、柔らかな物腰に内なる情感を込めた、美人画における至高の境地と称されています。
本展は修業期の挿絵から官展出品の代表作まで約80点を展示します。挿絵画から日本画へ、活動の舞台を移しながらも一筋に究めた清方の美人画の世界を堪能していただきたいと思います。



入 館 料 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日・5月5日(月・祝)は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
平成26年5月23日(金)~平成26年7月6日(日)

写真家が捉えた時代の一瞬

写真展「昭和」

大正モダニズムの光が残る時期から、戦争、敗戦後の混乱、高度経済成長と、激動の時代をたどった「昭和」。その一瞬一瞬の輝きをとらえた写真展です。
雑誌の黄金期をにない、第一線で活躍した木村伊兵衛(きむら いへえ)、土門拳(どもん けん)、濱谷浩(はまや ひろし)、林忠彦(はやし ただひこ)、芳賀日出男(はが ひでお)、長野重一(ながの しげいち)、田沼武能(たぬま たけよし)、熊切圭介(くまきり けいすけ)の8人の写真家と、入江泰吉(いりえ たいきち)〈奈良〉、緑川洋一(みどりかわ よういち)〈瀬戸内〉、浅野喜市(あさの きいち)〈京都〉ら、各地で活動を続けた写真家。日本を代表するこれらの写真家の名作が一堂に会します。
戦前・戦中の暮らし、戦後復興期からオリンピック・万博に沸いた高度経済成長期までの約170点の作品を展示。そこには、たくましく生き抜く日本人の姿が鮮やかに写し留められています。

出品写真家
木村伊兵衛
入江泰吉
土門拳
浅野喜市
濱谷浩
緑川洋一
林忠彦
芳賀日出男
長野重一
田沼武能
熊切圭介



入 館 料 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
平成26年7月12日(土)~平成26年9月28日(日)

一枚の紙から生まれる奇跡
吉澤章 創作折り紙の世界

世界的な創作折り紙作家、吉澤章(1911~2005)は、90余年の生涯をかけて独自の創作の世界を築き上げました。
様々な動物や鳥、植物、星の神話や恐竜たち、人の姿や心の動きなど、具象から抽象まで幅広いテーマが表現されました。ものの形が、折線で構成された立体作品となって生まれた吉澤折り紙。それは吉澤章が、祈りの造形としてこの世に送り出した生命ある作品たちです。見る人に優しく温かい感じを与える作品は、「ORIGAMI」として広く国内外で知られ、多くの創作折り紙の後継者が育っています。
神の声を聞き、森羅万象を折り上げることを許された吉澤章。本展では、代表作品300点余によりその求道の人生を振り返ります。

◆2019年4月14日[日]~6月30日[日]開催「受贈記念 吉澤章 創作折り紙の世界



入 館 料 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※8月1日(金)は入館無料(創立者・佐野隆一翁生誕日)
※9月15日(月・祝)敬老の日は65歳以上無料
※毎週土曜日は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
平成26年10月4日(土)~平成26年12月23日(火)

村田コレクション一挙公開

超絶技巧! 明治工芸の粋(すい)

鋭い観察眼から生まれた本物と見紛うほどのリアリティ、文様をミリ単位で刻み、彩色し、装飾を施す繊細な手仕事――明治時代、表現力・技術ともに最高レベルに達した日本の工芸品は、万国博覧会に出品され海外の人々を驚嘆させました。多くは外国の収集家や美術館に買い上げられたため、日本で目にする機会はほとんどありませんでした。
その知られざる存在となりつつあった明治の工芸に魅了されたのが村田理如(むらた まさゆき)氏です。村田氏は1980年代後半、出張先のニューヨークの骨董商で日本の印籠に出会ったことをきっかけに収集を始め、2000年京都に清水三年坂美術館を設立。現在、1万点を超えるコレクションを築き上げています。
本展は、村田コレクションから並河靖之(なみかわ やすゆき)らの七宝、正阿弥勝義(しょうあみ かつよし)らの金工、柴田是真(しばた ぜしん)・白山松哉(しらやま しょうさい)らの漆工、旭玉山(あさひ ぎょくざん)・安藤緑山(あんどう ろくざん)の木彫・牙彫をはじめ、京薩摩の焼きものや印籠、刺繍絵画など厳選した約160点により、明治の工芸家たちの気概を表した「超絶技巧」の世界を展観します。

  【出品作品ジャンル】
  七宝
  金工
  漆工
  薩摩
  刀装具
  自在
  牙彫・木彫
  印籠
  刺繍絵画



入 館 料 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
平成27年1月9日(金)~平成27年2月15日(日)

天下三名槍の一つ、本多忠勝愛用の蜻蛉切がついに ――

ひとの縁は、ものの縁
―初公開の矢部コレクション―

織田信長が長篠の戦いでの功を賞して奥平信昌に与えた一文字の太刀や、天下三名槍の一つ「蜻蛉切」。静岡県沼津の実業家・矢部利雄氏(1905~1996)が一代で築き上げたコレクションを、このたび初公開いたします。
国宝・重要文化財を含む刀剣・刀装具は言うに及ばず、仏教絵画や風俗図、陶芸などいずれのジャンルにも、それぞれの時代の佇まいを伝える優品が並びます。朱と黒の景色が見事な室町時代の根来塗(ねごろぬり)の数々も、コレクションを形成する重要な柱の一つです。
矢部氏は熱心に家業を営み、茶道や刀剣を通して地元のコレクターと交流を深める一方、沼津御用邸や千本松原の別荘地を訪れる東京の文化人と親しく交わり、自らの美意識を磨きました。
乗り物酔いがひどく、列車で東京や大阪へ出向いた回数は数える程。ほとんど沼津から出ることなくこの充実したコレクションを成したことにも驚嘆させられます。矢部家にはよく目利きと呼ばれる人々が訪れ、話に華を咲かせていたといいます。様々な人との縁を得、ものとの縁を結んで成されたコレクションをぜひお楽しみください。



入 館 料 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
平成27年2月21日(土)~平成27年4月5日(日)

花のお江戸の雛飾り
極小美の世界

高さ10㎝ほどの愛らしい内裏雛、精巧な蒔絵がほどこされた極小の雛道具。
このたび佐野美術館に新しく収蔵された雛飾りは、もと江戸八丁堀の与力、仁杉(ひとすぎ)家に伝わったもので、明治に入って人手を転々とし、一時は「わかもと」創業家の長尾よねの鎌倉美術館に飾られていました。その後アメリカのコレクターの手に渡り、近年日本に買い戻されたのです。
内裏雛は公家の装束を写した有職(ゆうそく)雛。京都への注文品であろうこの雛は、やさしく気品あるお顔が魅力です。細緻な技を駆使した雛道具には、特注品と思われるものも多々あり、中には上野池之端の七澤屋(ななさわや)の超高級品も多く含まれています。
さらに雛道具として珍しいのは、実際に動く櫓(やぐら)時計です。錘を掛けると、時計上部の点鐘がかすかにチンと鳴って時を刻み始めます。
雅な世界と精巧な江戸の職人技、粋を極めた極小の美をご堪能ください。



入 館 料 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引